空間演出デザイン論 (2020)
授業目的
「パソコンが重い」この言葉を耳にして、思い浮かべるのは質量でしょうか。それとも処理でしょうか。駅から大学までのスクールバスで聞いた言葉なら前者、授業中に聞いたとすれば後者でしょう。
いずれにせよ「パソコンが重い」は普通の不満の言葉です。ですが、計算機科学の核心を突いた言葉でもあります。なぜなら、人間がコンピュータを操作すること(Human-Computer Interaction)は、計算によって表現される「情報」と、質量をともなう「物質」と、関わることなしには成立しないからです。
現代社会は、成熟した物質空間と、発展途上の情報空間の、ザツでイビツなツギハギで作られています。そのイイカゲンさは、例えば「歩きスマホ」という事象に現れます。せっかく歩きながらWebが見られる時代になったのに、道路もスマホも歩きながら使うためには作られていません。よって今日も私たちは見知らぬ人にぶつかって、「チッ」と舌打ちされてしまうのです。
コンピュータの進化は止まることを知りません。未来は更に情報と物質が渾然とするでしょう。その時「歩きスマホ」のような問題が山積しては、世界は混沌につつまれます。そうならないためには、情報空間と物質空間を美しく繋ぐ方法を構想し、プロダクトやサービスとして具現化する必要があります。本講義は、そのためのデザインを学ぶためにあります。
本年度は、未来の日常を豊かにする空間演出デザインをテーマに、全三部で構成しています。第一部では、計算機科学と情報デザインの歴史を学び、先人たちがどのように情報空間と物質空間を美しくデザインしてきたかについて学びます。第2部ではデザイン思考をもとに、発想を現実に変える方法を学びます。第3部では情報と物質が混在する未来の生活像を、研究と表現の最新事例から考察していきます。
講義資料
履修者向けにBoxでスライドと録画データを共有しています。
フォルダの場所はUnipaに掲載されているシラバスを参照してください。
宿題の提出方法
毎週水曜の昼13時までに、Unipaで提出してください
メール提出や遅刻提出は受理しません
副読本
さらに学習を進めたい人は、下記の2冊を読むと良いでしょう
黒須 正明、暦本 純一「改訂版 コンピュータと人間の接点」放送大学教育振興会 (2018)
キャスリン・マッケルロイ「デザイナーのためのプロトタイピング入門」BNN新社 (2019)
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